月別アーカイブ: 2014年11月

師匠ご来店

来た〜〜〜〜〜!
ムッシュ・ウイリアム・ベルネ。
ただいまテンションMAXです!

ほとんどの方は『?』だと思いますが、僕のブログ”フランスの7年半”を読破している方はよく、よく、ご存知の、あの、あのお方。はい、僕の熟成肉に関する師匠です。

いきなり、今日の昼過ぎにホテルのコンシェルジュから電話があり、(地域密着型のクルティーヌに5つ星ホテルのコンシェルジュから電話来るなんてとても稀なことです。)コンシェルジュから、ウイリアム・ベネット様のためにお席をご用意出来ますかと聞かれ、ベネット?っていう感じになりましたが、14日のこともありますし、いや、このタイミングであのウイリアムじゃない訳がない。Facebookで偉そうに熟成肉について語ってたり、熟成肉やってますアピールをしているのを見て、どれ、カズの熟成肉はどんなもんよと、品定めに来るのではないかと、もう、居ても立っても居られません。14日は僕のシェフであるイヴ・シャルルもいるし、そこで厳しくダメ出しをするのはさすがに可哀想だなと気をきかせての前もっての来店だろう。そわそわしながら、絶対熟成肉だよな。う〜ダメ出しされるよな。と、一人苦悩していました。
もう日本に来てる訳だし、隠れる場所もない。なるようになる。

そんなコンなで、そのご予約の時間に来たのは、やっぱり、あのウイリアム・ベルネーだったわけです。

ご存知、11月14日(金)のイヴ・シャルル来日からの晩餐会に、出席予定の2人目の特別ゲストであるウイリアム・ベルネが、昼過ぎに羽田に到着し、早々にクルティーヌに来てなんか食わせろと。

さて、何を出すかと最後のあがきを考えているところで、『カズ、適当に頼む。」と。
まーこうなれば、もうまな板のコイなので、ウイリアムの得意分野で攻めることにしました。
まずは、落ち着いて、アミューズ・ブーシュ(先付け)から。小さなシューにサツマイモのムースを入れて・・・出そうとした時に、ウイリアム、調理場に登場。
そりゃどうぞ是非入って見てやって下さいとなる訳で、調理場のあられもない姿を隠す暇もなく、開き直る僕。 冗談で、「あ、これウイリアムのアミューズ」って言ったら、ポンッと口へ。ニッと笑ってそのまま少し調理場を眺めて席に戻るのでした。

さて、では気を取り直して前菜のジビエのパテ・オン・クルートから、その後、ブーダ・ノワールを出して、熊のコンソメ。ここまでは・・・うん、満足しているご様子。そして、いろんな意味でメインディッシュとなる熟成肉。
それがこの写真。

d0275530_1715271.jpg
 

d0275530_17143560.jpg

[#IMAGE|d0275530_17145671.jpg|201411/10/30/|mid|500|375#

d0275530_17141481.jpg
はい。絶賛頂きました!

やりました。師匠から、熟成肉についてなら世界中で一番信頼出来る激辛口の頑固職人から、諸手を上げての賛辞。お墨付き。
本当に喜んで食べてる。103日熟成のランプ肉250g。
そのあと熟成肉の塊肉も見せろと言われ見せると、
「とても綺麗だ、肉の張り、状態、脂身の色、熟成の観点からも肉本来の質という観点からも素晴らしい」とこれまた上機嫌。

この特別な北海道産のランプ肉を入れて下さる〇〇さん、読んでいますか?
牛肉の世界の最高峰からお墨付き、しっかり頂きました!

もと肉屋さんの腕利きに、ジビエのパテ・オン・クルートを出す怖さ。「これ肉は日本の物を使うのか?」はい。「北海道の蝦夷鹿と、佐賀の猪を使っております。」とか、一つ一つの何でもない質問にどぎまぎしながら食事が進む。ブーダンも、僕が追い求める、クリスチャン・パラー(元2つ星シェフ)のブーダン(もちろん本人も)を非常によく知るウィリアム。でも、思いのほか上機嫌で食は進む。。熊のコンソメは、とてもおいしいって褒めるのに、熊(ウルス)を使ってるって言ったら、「ウルサン?(雲丹)」と言われ、もう一度『ウルス』と言うと、「ロルス!」と。ああ、前置詞も入るよねと分かったけれど、なんかうやむやになった感・・・。マ,イッカ。

さて、改めて言わせて下さい
私、ただいま本当に感無量なわけです。
もう、心置きなく、熟成肉の話で師匠と盛り上がり、キャッキャワハハしている僕をスタッフが優しく見守る感じ。

今まで、自分の経験と、信念と、感性を信じて、熟成肉と誠実に対峙してきましたが、それが今日、本当の意味での自信へと変わりました。

今までクルティーヌの熟成肉を食べ、ご満足を下さった皆さま、皆さまの感性もひっくるめて、ウイリアムから、お褒めの言葉と、笑顔を頂きました。

こんなに素敵な笑顔を見せることなんてまずなかった、あのしかめっ面の頑固爺なウイリアムがくれた、今日の素直な笑顔は、僕にとって、最高の賛辞、最高の財産となりました。