1月初め、念願の木下牧場へ。
牛たちは広大な土地でのびのび生活していました。
驚くことに、全く匂いません。僕の田舎でも牛舎はよく見かけましたが、横を通るだけで鼻が曲がるほどの糞の匂いがしたものですが、木下牧場ではその匂いが一切ありません。人間が気になることや、嫌な匂いは牛も嫌なはずだと、徹底的に匂いの元を除去しているそうです。もちろん薬物、洗剤は一切使わず、藁を使うだけ。シンプル。古くからの先人の知恵とはすごいですね。ハエなども全くいませんでした。ハエや小さな昆虫は少なからずいるそうですが、あえて新しい蜘蛛の巣を残すことで、蜘蛛が捕食してハエなどを駆除してくれるそうです。もちろん古い蜘蛛の巣はきれいに掃除します。この手間が大切なのですね。
牛がストレスを感じるであろうことは徹底して除去していく木下牧場の牛たちは、みんなイキイキ、のびのび。毛艶のきれいな美男美女が揃っています。
喜和味牛に至っては、独特のオーラを感じます。なんというか、迫力や、凄みのようなものを纏うようですね。これがまた一段と美しい牛たちでした。
牛たちの“食事”はどれも人間が安心して食べられるものです。
今までの人生で、干し草をあえて食べようとしたことはなかったのですが、こちらの干し草をかじると、なんだかお新香のようでした。二年もの間、風通しのいい牛舎2階に陰干ししているだけあって、柔らかな酸味、驚くほどの旨味、そして、ほのかな甘みが印象的でした。
畜産農家では、外国産飼料を使う割合は90%を占めるらしいですが、木下牧場では飼料の内容を細かく設定し、自家配合飼料で育てています。
これは配合の量や方法によって変化する牛たちの肉と、国産の飼料の因果関係を探り、掌握するためでもあり、その牛その牛の血統や、成長度合い、体調に合わせた飼料作りをするためでもあります。
飼料は草、トウモロコシ、大豆、雑穀、酒粕など。
トウモロコシや大豆、雑穀は荒くくだいたものから細かくさらさらにしたものを何段階かに分けて選別して用意しておき、牛それぞれに合わせてブレンドするそうです。常時120頭近くいる牛たちのためにそこまでやるか、大変な時間と労力を必要とすることだと感じ入りました。
牛が食べたものは食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)大腸・・・と順に通っていきますが、どこの臓器で消化しきるように促すか、をコントロールするために、穀物の大きさを変え、配合する。
こうすることで、消化の良いものを食べている牛はさっぱりとした赤身に、じっくりと時間をかけて消化した牛はリッチな脂ののった牛になるという訳だそうです。
ま、それ以外にもいろいろ意味があり、簡単にはここで説明しきれないほど沢山のことにこだわっておられるのですがそれはまた・・・。
食事の質がいいので身も脂も融点が低く、口の中で綺麗に溶けていく・・・
飼料として与えられているものがもう一つ。
こだわりの“梵”(ぼん)の酒粕です。
創業は1860年、桜田門外の変が起きた年。
近年では、国内はもちろん、アメリカやカナダ政府主催の式典にも採用され、世界の要人が集まる席で活躍する日本酒に至っています。
この酒粕はなかなか手に入らないらしいのですが、さすが木下さん。
横5m、幅2m、高さ1mほどの大きいクーラーボックスでたんまりと保管されていました!!!
クーラーボックスから移したものをすぐに試食。ん~、美味しい。
トウモロコシをつぶしたもの。
穀物を砕いてミックスしたもの。大きさがバラバラなのは上記のこだわりからです。
最後は木下さん一家、ル・キャトーズィエムの茂野さん一家、善塔家で晩餐会です!
もちろんワインは自然派。モルゴン イヴォンメトラーなどセラーから勝手に選ばせていただきました。
木下牧場では 家族みんなで子牛が生まれた時からお肉になるまで、大切に近江牛を育てています。
皆様もこの大切にされてきた他にない味わいを 是非、どなたかとお誘い合わせの上、ご来店くださいませ。