今年も桜の季節が始まりました。
一年で一番好きな風。小春日和が気持ち良いお花見シーズンの到来ですね。
クルティーヌでも早速、店内に桜の枝を飾り、ほのぼのとした空気が漂っております。休みの日にはできるだけ外に出かけて、じめっとした梅雨の前の気持ちの良いやわらかな日差しを満喫して過ごしたいと思います。
では、花のコースのご紹介です。やはりこの時期は桜をたくさん意識してコースを組み立てたいものです。その反面、桜以外の構成はできるだけフランス料理らしいお皿を考えました。随所にこだわりを織り交ぜて今月のコースも力が入っております。今回は特にカップリングワインが秀逸で、小春日和のような柔らかな香りの料理にワインがピシッと寄り添っておリます。
3月4日〜4月5日
桜花(オウカ)8,900円(税込) カップリングワイン6種5,600円
[アミューズ・ブーシュ]
小さな琥珀色のコンソメスープ
Amuse Bouche.
久しぶりにアミューズにコンソメスープをご用意しておりまます。
クルティーヌの濃厚なコンソメスープは一口飲めば笑顔になる、そんなスープです。桜の花を1枚散らしてこれから始まるコースに想いを馳せてください。
45L鍋の底が見えるほど澄んだ黄金色のコンソメスープ。
40kgを超える材料を使い、2日かけて作って、出来上がりは僅か4L。
材料は、牛骨10kg 雛鶏ガラ7kg 鶏手羽先5kg 仔牛のスネ肉4kg 仔牛スジ2kg 牛スジ2kg 牛挽肉3kg 玉ねぎ2kg 人参2kg セロリと根セロリ500g トマト600g ニンニク100g白ワインとコニャック1.5kg 卵白700g ハーブやスパイスetcで 40.4kg。
こちらを煮込んで、コンソメスープのベースを作る。
そのベースへ、新たに挽肉などを加え、卵白で澄ませてゆくと…黄金色。
そして、黄金色を煮詰めて、凝縮させてゆくと… 琥珀色に変わります。
40kgの食材からゼラチン質を極力出さないようにして、旨味と香りのエキスだけを取り出した贅沢なコンソメスープの出来上がり。
やはり、美味しいものは綺麗ですね。
[前菜一品目]
北海道から旬の春鰊(ニシン)と数の子のタンバル仕立て 山椒のエッジ
Tambour d’ Hareng et ses oeufs. Huile de Sansyo.
北海道から美しい鰊が届いております。なかなかここまで鮮やかな春鰊を扱えるお店は少ないのではないでしょうか(このページ一番最初の魚の写真が春鰊です)。鰊はとにかく小骨が多くて、倦厭されがちなお魚ですが、ここまで綺麗な春鰊ともなると、やはり火を入れないで食べたいものです。巻き込んだ数の子のプチプチとした食感が心地良いタンバルに仕上がりました。自家製マスタードに加えた山椒のエッジの効いた風味が口内をリフレッシュしてくれて、春鰊との抜群の相性を見せてくれます。
そして、今月は、フランスをいつも以上に意識していただきたく、フランスから届く食材を多用しております。
こちらのお皿には西洋タンポポを使いました。黄色い柔らかな葉が大人の苦味を添えてくれます。
こちらのお料理に合わせるワインはムルソーのスペシャリストとして名高いコント・ラフォンがマコンの地で造るムルソーさながらのリッチな味わいの白ワイン。マコンのシャルドネの魅力を最大限に引き出した1本です。
「ムルソーの巨人」と称され、コシュ・デュリと並ぶ、ムルソーのスペシャリスト、ドメーヌ・デ・コント・ラフォン。コント・ラフォンのワインは世界的に高い評価を受けており、英国の『ワイン評価誌「デキャンタ誌」2006年7月号『世界の白ワイン・トップ生産者10傑』において見事2位を獲得するなど、世界最高ランクの白ワインとして認められています。今ではその名声と限られた生産量により、価格は高騰、入手困難を極める稀少なワインです。
栽培も醸造も本家コント・ラフォンに倣い、ビオディナミを実行、発酵にはステンレスタンクだけでなく木製タンクも使い分け、100%マロラクティック発酵、ノンフィルターで瓶詰めしています。ムルソーと同じく手を掛け造られた贅沢なマコンの中でも、最も「マコンらしいマコン」です。 (抜粋)
フランス産葉玉葱とリ・ド・ヴォーのドゥ・ミルフィーユ(2049層)
Deux millefeuille de Ris de veau aux oignon nouveau
ミルフィーユとは、「千の葉」です。その名の通り、落ち葉のように薄いサクサクの生地が1000枚以上重なっているパイ生地のことです。ちなみにクルティーヌの通常のミルフィーユ生地は1025層。その層をもう一度折って2049層にしました。
通常のパイ生地よりももろく、よりバターの香りが増したように感じます。
旨味と香ばしさが両立するリ・ド・ヴォーと葉玉葱を焼き上げた香ばしさがフォンドヴォーソースとグリーンペッパーの辛味と、オレンジの香りでふんわりとまとまる一品です。
アラン・ブリュモンはAOCマディラン タナ種のワインを、世界的に認められ賞賛されるワインへと復興させた、フランス南西地方を代表する造り手です。その功績によりフランス国家最高勲章(レジオンドヌール)を受賞しています。
その高い品質により、世界のワインコンクールでは数々の賞を受賞し、フランス3つ星レストランには必ずと言われるほどの取り扱いの実績を誇っています。
フランスワインの中で最もパワフルなワインの一つで、アメリカからトム・クルーズ氏が買いに来るのだとか。
[前菜三品目]
根セロリのタリアテッレ と駿河湾産 桜海老 レフォール(西洋ワサビ)と レモンの香りで
Tagliatelle de Celeri rave au Reifort et Citron confit .
フランスの香りが感じられる一皿です。根セロリの香りとレフォールの辛味とレモンの香りは、日本ではあまりない組み合わせ。とてもヨーロッパ的な構成です。そこに桜海老を加えて、カップリングワインには「磯自慢」を合わせます(ワインではありませんが)。ぱりぱりの根セロリと桜海老の香ばしさが食欲&酒欲をそそる、楽しい一皿になりました。
こちらに合わせるのは入手困難な静岡の「磯自慢」しかも特別本醸造の生酒原酒です。
特別本醸造「磯自慢」は、酒造好適米特A地区産山田錦を高度に精白し、南アルプス間ノ岳を源泉とする名水大井川伏流水を用いて、冷蔵仕込室で低温でゆっくりと発酵させます。長年蓄積した独自の麹造りと優良な酵母(自家培養)を利用、丹精を込めて手造りした日本酒はまるい味わいを持ち、颯爽とした吟醸香を漂わせます。吟醸酒タイプです。(裏ラベルの文言を引用)
黒アワビのポワレ その肝とゴルゴンゾーラのソース菊花とアンディーブ添えOrmeau sauce Gorgonzola
黒鮑にゴルゴンゾーラを合わせました。この季節に美味しいアンディーブと菊の花を鴨の脂で香ばしく焼き上げます。ゴルゴンゾーラと鮑の肝が、お互いの旨味や、香りを、お互いが引き出し、高め合っていますが、そこまで重たいソースではなく、思いの外さらっと食べられてしまう、そんな一皿。紫キャベツのチュイル添え
カップリングワインには「ルー・ペールエフィス」の「ピュリニーモンラシェ」
ブルゴーニュの黄金の丘(コート・ドール)で、1885年から続く一家が作り上げるワインです。ルー家のしきたり「ルー・メソッド」と言われる考え方があるらしく、「醸造はブルゴーニュの伝統的手法を続けるが、ワインの品質を管理するためには現代の技術も導入する。」そうです。
ピュリニーモンラシェは世界一高貴で複雑なシャルドネの白ワインを生み出す最高峰の村です。
仔羊背肉とフォアグラとビアンケット・トリュフを包み込む桜のラビオリ
Raviole de Fleur de cerise. ( Agneau Foie gras truffe)
5月26日に、代官山にあるフレンチレストラン、ラ・ジュネスで、オグエシェフとコラボディナーを行うことが決定していますが、その際のメニューに、パリのMOFのシェフの元で作っていたオマール海老のラビオリを入れようと考えていた時に、同時にふわりと脳内に降りてきた料理です。
この味わいは口述し難いので、ぜひ食べてみてください。 ラビオリの生地に練り込んだ桜の花びらが柔らかにとても仔羊とマリアージュしております。
写真はまだ撮れ次第載せます。
そして、その料理に添えるのはドメーヌ・コワイヨ。マルサネの地を愛する造り手です。
軽いワインより力強いワインが好きだと語るクリストフ・コワイヨ氏が造るワインは、凝縮感が抜群。彼は、「凝縮と抽出は違う」と語り、十分な収量を得た上で、過度の抽出により濃いワインを造るのではなく、あくまでもブドウ本来の凝縮感を大切にしたワインを探求し続けてます。「完熟ブドウ」に並々ならぬこだわりをもつ、マルサネで今一番注目されている造り手です。
マカイバリのダージリンティーのジュレ に セロリのソルベを
Sorbet au celeri
今回のソルベには何より清涼感を求めました。新鮮なセロリにこだわって、フレッシュなままソルベにしてあるので、セロリの嫌な臭いはありません。とても透明感のある爽やかなソルベに仕上がっています。
水出しにしたダーリンティーをゼリーにして、セロリの風味とともにお楽しみください。
桜のヌガーグラッセ ピスタチオアクセントで
Nouga-glasse de Fleur de cerisier.
やはり今月のデザートには桜。
桜が香るヌガーグラッセにしました。桜の葉で作るピストーや、ナッツをふんだんに使ったジョコンドなどを添えて間違いなく美味しい一皿。
カップリングには「ミュスカボーヌ・ド・ヴニーズ」というA.O.C.の甘口ワイン。綺麗な甘さで、デザートに合わせるのに非常に優秀な甘口ワインです。
フランス産パムプリー(AOC)無塩バターと、そのバターのために作った自家製パン
[食後のひととき]
「阿佐ヶ谷カフェフレスコ」:エスプレッソ、コーヒー
又は
「マカイバリ」:ダージリン、アッサム 又は フレッシュハーブティー
長くなってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございます。
ぜひ、今月の桜花コース、お召し上がりください。
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ラ・メゾン・クルティーヌ
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